2013年01月24日
第12回 映画 「モンサントの不自然な食べもの」
「遺伝子組み換えでない」納豆やら豆腐やらに表記されているその文言をみるたび、そんなことべつに訊いてないしよくわかんないんだけど? なんとなく小首かしげ、という心持ちであったりもしたのですが、怖いんですね! 遺伝子組み換えって! というよりも種をなにやら細工して世界中に流通させてしまうその商法が、どうにも壮大な陰謀めいて怖いんですけど怖すぎる。
とはいえ映画はけっこう一方的な主張のおもむきが無きにしもあらず。冒頭はにこにこ、収量がこれでアップ夢のような除草剤と種子、なんてアピールさせておきながら、問答無用の嘘つき呼ばわり、たてつづけに罵る罵る、PCB、枯れ葉剤、あちらこちらで毒をまきちらし、金儲けのためなら誰かが傷ついても知ったこっちゃない、そんな最悪の企業なのだと、いかにも善人そうな紳士たちが、あらゆる面から冷静に責めまくる。食と生命、政治と経済、国家間競争の問題点が、広大な農場の光景を差し挟みながら、矢継ぎ早に語られて。
いやでもほんとなんだろうか、ちょっと疑問におもってしまったりもするのですが、あまりの拝金主義ぶりに、種を支配して世界支配、利益をむさぼる企業がここに、というお話なのだけれど、多くのあるいは未来の生命をおびやかすようなことをしているとすれば、企業そのものを運営しているひとびとにだって、まわりまわって災厄はかえってくるわけなのだし、いくらかでも世の中に貢献できているはずだ、という自負ぐらいないと、手間ひまかけていろいろ開発などしないのではないの?
じつをいうと映画そのものの手法がいまひとつ単調な気がして、どうみても結論先にありきで、それを導きだすための筋書きどおりのインタビュー、取材、恣意的な編集だってありえそうな気配が漂い、非常にまじめに語ってはいるのだけれど、正直、途中ねむけに襲われてしまった……これって『ダーウィンの悪夢』のかんじ、主張がなんというか、誰かの意見とかデータの寄せ集めで、映像で観るおもしろさがほとんどかんじられず、いえそんなものは不要で、忌まわしい現実を知ることさえできればそれでいい、ということなのかもしれないけれど。
だから、調べずにはいられなくなるわけで、調べてしまいますよネットでモンサント関連、映画ではどうもなんというか、わかるようでわからない、その細かな背景や、もっと科学的なこととか。そして調べるかぎり、誰が悪人かはともかく相当怖い、という印象が。そういえばたしかにホームセンターで種買おうとするとF1種というのばかりで、なんだろこれ、とおもってたけれど、そういうことだったのねなんだかかなり恐ろしい世界、こんな一大事だったら、マイケル・ムーアっぽい演出過剰な訴えでも観たいぐらい、いやまじめに考えないと種のこと。
モンサントの不自然な食べもの
2008年フランス・カナダ・ドイツ マリー=モニク・ロバン監督作品
公式サイト http://www.uplink.co.jp/monsanto/
Posted by eしずおかコラム at 12:00